親にお金をせびられて金銭的に頼られてしまうあなたが、「親に依存される理由」と今すぐできる対処法。

 

普段、親との関係で悩む方から様々なご相談を受けますが、その中でも「親にお金を貸してと言われて困っている」という方にお会いすることがあります。

 

そういう方の多くは、お金を貸すのが初めてではないし、貸しても満足に返ってこないことが多くて困っているんですよね。

 

あなたも、今まさにそんな悩みを抱えて辛い思いをしていませんか?

 

今日は、そんなあなたに向けて記事を書いてみます。

 

まず、親から金銭的に頼られて困っている女性の相談者のお悩みからご覧ください。


「お金貸してくれる?これで最後だから」って…。これで何度目?

実家の両親から金銭的に頼られていてとても悩んでいます。

  

両親ともに働いてはいますが父はアルバイトで、母もそこまでの収入はないので、二人合わせての収入は低いです。

 

3年前くらいから、母に「お金がない」「困ってるから貸して」と言われるようになって、仕方ないので貸すようになりました。

 

「返すから」って言うんですけど、ほとんど返ってきません。 

 

うちだって子どもが小さいし、ローンだってあるのに。 

 

今、トータルするとけっこう貸してると思います。

  

腑に落ちないのが、二人とも毎日けっこうお酒を飲むんです。

 

近所の酒屋でビールとか日本酒とか、いつも買いこんでいます。

 

父は煙草も吸います。一日一箱は吸ってるはずです。

 

前に、そんなにお金がないならお酒もたばこもやめるように言ってみたんですけど、すごく嫌そうな顔をされちゃって。

 

「お金がなくて色々我慢してるのに、お酒までやめろって言うの?」

 

「お父さんだってタバコやめられるわけないでしょ」

 

こう言われました。

 

確かに、そうだと思いますよ。

 

でも、お金を借りてる私にそんなこと言う?って思って。

 

しかも、先月の連休に夫と子どもを連れて実家に行ったんですけど、夫にお礼のひとつもない。

 

夫に申し訳ないです。

 

それで、昨日またお金を貸してと言われちゃって。

 

今度は10万です。

 

「今度が最後だから」「必ず返すから」って。

 

うーん、最後と言ってるから貸そうかな…

 

いやいや、もう貸したくない

 

そんな気持ちで戦ってます。

 

「もう貸すな。絶対返ってこないんだから。はっきり断れ!」って思いましたよね?

 

私も思います。

 

でも、不思議なのが、どうも母の頼みを断れなくて。

 

断って、母に悲しい思いをさせてはいけない。

 

娘なんだから、そんなことをしてはいけない。

 

なんか、そんな気持ちになって、断れないんですよ。 

 

ちなみに母との関係は悪くないですけど、子どもの頃から厳しくて怖い母でした。

 

よく考えたら、ちゃんと母に反抗したり、逆らった経験ってそんなにないかも。

 

姉もそうですね。

 

姉は今は実家にほとんどよりつかなくて、母もお金のことは私にしか言いません。

 

どう言えば母にわかってもらえますかね?

 

私はこれからどうすればいいんでしょうか…

こんな風に、実家の親から金銭的に頼られる状態が続き、貸したお金も満足に返ってこない。

 

これはとても辛いことです。

 

もちろん、本当に困っているなら助けてあげたい。

 

親には感謝の気持ちも当然ある。

 

でも、どうもこちらに対する配慮や気遣いに欠けているような、あまり尊重されていないような…。

 

むしろ、寄りかかられているというか、依存されているというか。 

 

あなたは、こんななんとも言えないストレスを抱え、苦しさを感じているのではないでしょうか。

 

このような悩みを抱えて相談に来るクライエントさんは、とても家族思いで優しい方が多いというのが私の印象です。

 

だからこそ、その分とても苦しんでいるのです。

 

「このままお金を貸し続けてもいいのかな…」 

 

「ここで断ったら、自分は親不孝なんじゃないか」

 

そうですよね。

 

そして、実家のお金の問題なので、気軽に人に相談できる話でもない。

 

だから、一人で抱えて悶々とするしかなくなってしまうのです。

 

本当にお辛いことです。

 

そして、この問題と向き合っていく中で、あなたは自分に対してこんな疑問を持つことはありませんか?

 

「お母さんにお願いされると、どうしても断れないんだよな」

 

「やめてほしい気持ちもあるけど、親に頼られていることで嬉しい気持ちも全くないわけではなく…。どうも、親の役に立たないといけないみたいな気持ちがあって、うまく距離がとれないんですよ」

  

相談に訪れる方の多くが、このように「親のお願いを断れない自分」「親と距離をとれない自分」に違和感を感じ、悩んでいます。 

 

あなたも同じよう悩みを抱えていないでしょうか。

 

今日は、そんな悩みを抱えるあなたが、少しでも今の親子関係を客観的に整理して解決に近づくことができるように、ブログで解説していきます。


親があなたに依存していく本当の理由

 

まず、親とあなたの今の関係を振り返ってみてください。

  

「イネイブリング」という言葉をご存知ですか? 

(英語「enable」で、「可能にさせる、できるようにする」という意味です) 

 

イネイブリングとは、依存症を説明するのによく使われるワードです。

 

例えば、ギャンブル依存症の息子がパチンコで作った借金を、何度も親が肩代わりしてしまう。

 

これにより、息子はいつまでも困ることがなく、パチンコのみならず親への依存が増し、より行動がエスカレートして問題を繰り返す。

 

依存症の背景に、「依存を助長する家族関係」が潜んでいることは全く珍しいことではありません。

 

このような、「本人がとるべき責任や役割を尻拭いしてしまい、依存を助長する行為」を、イネイブリングと言います。

 

イネイブリングが続くと、「その問題で最も困るべき人」がいつまでも困らず、周りを巻き込み問題が深刻化していくことが特徴です。

 

依存からの回復には、まず家族を初めとした周囲の人が正しい知識を持ち、本人の依存行動を助長しない関係を構築していくことがとても大切なのです。 

ここまでの話を、今のあなたの悩みに置き換えてみてください。

 

親がいつまでも自分たちのお金の問題と真剣に向き合わず、生活も改めようとせず、いたずらにあなたへの借金を繰り返す。

 

どうしてこれが成立するのでしょうか。

 

どうしていつまでも親が困ることがないのでしょうか。

 

もうわかりますよね。(というか、薄々気づいてはいますよね?)

 

あなたの「親を助けたい」「頼まれると断れない」という善意からの行動に、親が依存してしまう。

 

それにより生活を改めることもなければ、時にはあなたに対する敬意を欠いた言動を繰り返し、再びお金を貸してほしいと頼む。

 

これまであなたが行ってきた行為が、イネイブリングとなり、親の依存を助長してしまっている可能性が考えられるのです。

 

ちなみに、私は「あなたの親は依存症です」とか、「あなたの親は悪意があってやっている!」と言いたいわけではありません。

 

人間は弱い生き物で、ついつい甘えてしまうのです。

 

親はあなたを困らせるつもりはなくても、ついついあなたを頼ってしまい、今はそれが癖になってしまっているのです。

 

加えて、「イネイブリングをしていたあなたが悪い!」なんて言うつもりも全くありません。

 

家族を思う気持ちが、時に問題を悪化させてしまうこともあることだってあります。

 

だから、まずはお互いの関係を客観視してみて、距離感を見直してみることが大切なのです。 

 

これを理解して頂くために、イネイブリングの説明をしました。

 

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◆共依存のパターン「役割依存」

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イネイブリングをやめるためにできることは、あなたの境界線を明確にすること。

 

今、あなたがイネイブリングをやめるためにできること。

 

それは、あなたの境界線を明確にすることです。 

 

あなたが金銭の問題で親に「できること」と「できないこと」を明確にしてみる。

 

まずはここから始める必要があります。

 

「今まで貸したお金も返してもらってないのに、もう貸せないよ」

 

「もうお金は貸せない。でも、お父さんとお母さんがお金の問題を解決できるように、相談できるところを探すのは協力するよ。二人が本当に何とかしようという気持ちがあるならだけどね。」

 

「二人は毎日お酒を飲んでタバコも吸うし、私はなんだかとても嫌な気持ちになるから、助けてあげたいと今は思えない。お金がないなら、まずは二人でできることをちゃんとやってよ。今のままだとお金の話は一切聞きたくないから」

 

どこまでやってあげるか、どこまで許容するかはあなたの気持ち次第ですが、これまであなたが肩代わりしていた親の役割と責任を降ろして、境界線を明確にすること。

 

それは、言い換えれば、あなたの気持ちを大切に行動するということでもあります。

 

ちなみに、「境界線を明確にする」というのは「相手を納得させること」ではありません。

 

あなたの伝えたことに対して親が不満そうにしたり、怒ったりしても、納得させようとして言い合いになる必要はありません。

 

もちろん、親を怒鳴って傷つける必要もありません。

 

「わかってもらえなくて残念だよ。でも、私の考えは変わらないから。嫌な気持ちになりたくないから、それ以上私のことを悪く言うなら電話を切るね」

 

このようなイメージで、親の気持ちを尊重しながら自分の考えを伝えて、あとは行動に移す。

 

これでいいのです。  

 

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「わかっちゃいるけど、断れない」あなたへ。

 

「先日のカウンセリングではどうもありがとうございました。お蔭様で、落ち着いて家族と話ができました。少しずつわだかまりが解けていくかもしれないです」

 

これは、この問題についてご相談いただいたクライエントさんの感想です。

 

この方はカウンセリングを一度受け、起きている問題の構造を理解し、親と話し合いをして今は良い方向に向かいつつあるようです。

 

自分がお金を出し続けることのデメリットを理解し、すぐに行動に移したのです。

 

このように、1回の相談ですぐに行動を変えることができる人もいる一方で、どうしてもイネイブリングをやめられない方もいます。

 

あなたはいかがでしょうか。

 

イネイブリングをしていることはわかった。

 

私がお金を貸すからよくないんだ。

 

だからどんどん私に甘えて、好き勝手にやるんだ。

 

だから、断らないとダメなんだ。

 

でも

 

断れない。怖い。親を悲しませないか?親を見捨てることにならないか?そんなことして私はいいんだろうか。親不孝なんじゃないか…。

 

どうしてもこんなメッセージがしつこく頭にこびりついて離れず、あなたは今日も苦しんでいませんか。

 

そんなあなたが求めているのは、きっと、「そんな親に金を貸しちゃだめだよ」「イネイブリングはよくないよ」なんていうレベルの助言ではないのかもしれません。

 

「わかっちゃいるけどできない苦しさ」 

あなたは、これをわかってほしいのではないでしょうか。

 

この苦しさはなかなか人に理解されない、とても辛いものです。

 

「親の強い要求を断ること」 

 

これは、今のあなたにとって本当に重いテーマなのかもしれません。

 

推測ですが、あなたは子どもの頃から、親を怒らせないように、悲しませないように、少しでも親の望む子どもでいるように、多くの場面において我慢をしてきたということはありませんか。

 

「どうせ言ってもわかってもらえないし」「私さえ我慢すればいいし」と、親に対して諦めやすく、無力になる習慣がついていませんか?

 

このような傾向にある方の多くが、幼少期からの親との関係で、きちんと自己主張をして、受け入れられてきた経験が不足している印象があります。

 

それゆえに、親をがっかりさせることに抵抗があり、そんなことをする自分が「とても良くない行いをしている」と思えて仕方がないのです。

 

あなたは、とても優しい、ご家族思いの方です。

 

だからこそ、私は、あなたがもっと自分の気持ちも大切にしながら、親との関係を築き直していくことを支援したいなと思います。 

 「親が東京に用事があって来るから私の家に泊まりたいと言ってきたんですが、泊まられるのは本当に疲れるから断りました。友達と約束があると嘘をつきました。親に嘘をつくなんて、前までの私なら絶対にできなかったんですが、できるものですね。断れて本当に良かったです!」

 

「日曜日に実家に行って、父と母にもうしばらく帰らないと伝えました。すごく勇気がいりましたけど、これまで私がずっと傷ついてきたことを全て伝えました。二人とも困った顔をしてました。もっと怒られるかなと思ったんですが、言ってみるものですね。何か嫌なこと言われても今日のカウンセリングで話せばいいやと思えたら、がんばれました」

 

これは、親との関係でカウンセリングに訪れたクライエントさんのお話です。

 

カウンセリングを受けて、自分の気持ちを確認して、今までできなかったことをやってみる。 

 

初めはとても勇気の要る行動ですが、自分の気持ちを優先して行動してみることのメリットを実感すれば、自ずと2回、3回と続き、それが習慣になっていくこともあります。

 

「みんなこうやってるんですね。私はこういうの全くやってこなかったから、とにかく驚きです。断るって本当に大切ですね」

 

先週、こんな風に明るく話をしていったクライエントさんもいます。

 

あなたが今まで経験してこなかった、自分の気持ちを大切にした生き方ができるようになる。

 

人の気持ちを満たすためでなく、もっと自由に、あなたのために一日を生きる。

 

そんなお手伝いを、カウンセリングでさせて頂きたいです。 

 

あなたも、カウンセリングで変わるきっかけをつかみませんか。

 

いつでもお申込みをお待ちしています。

 

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