共依存を克服する方法の第8回です。
今回は、共依存の方が最も苦手な「自尊心」の話をしたいと思います。
まず、両親との関係で悩んでいる女性の悩みを紹介しますので、読んでみてください。
今、公務員になって5年目なのですが、今の仕事にやりがいを感じないので、もう退職したいなと思っています。
もともとアパレル関係の仕事に興味があって、大学時代も販売のバイトをしていました。
洋服が好きなんです。
でも、うちは親がとても厳しくて、認めてくれませんでした。
親は私にずっと公務員になるように言ってきて、結局私も親に逆らえなくて、公務員になりました。
親も親戚も、とても喜んでいました。
でも、私は今の仕事にやりがいを感じないし、やはり自分で自分のことを決めたいなと思うんです。
だから、思い切って親に公務員を辞めて転職したいと伝えました。
結果は、惨敗です。
私の話なんて全く聞いてくれなくて。
「仕事にやりがいを求めるなんておかしい。辛くて当然だ」
「公務員をやめるなんてとんでもない。もっと賢くなりなさい!」
頭ごなしに叱られて、取り付く島もないです。
もう諦めるしかないんでしょうか。
友達に相談したら、「ひどいね!私ならもうそんな家を出ちゃうし、勝手に自分で進めちゃうよ!」なんて言われました。
私もそれくらいできればいいんでしょうね。
でも、親にまともに逆らったこともないので、私にはとてつもなく高いハードルです。
一体私は、どうしたらいいんでしょうか…。
※関連記事
◆共依存を克服する方法①「相手の感情に振り回されない習慣作り」
◆共依存を克服する方法②「間(ま)を作り、自分の気持ちを確認する」
◆共依存を克服する方法③「イネイブリングを点検する5つの質問」
◆共依存を克服する方法④「責任を回避する言葉」を「自分の責任で行動している言葉」に変える。
◆共依存を克服する方法⑤「自己主張のバリエーションを増やす」
「人間関係の三本柱」で気持ちを整理する。
このような問題は、職場、家族、友人関係など、どんな人間関係でも起きるとても辛い悩みです。
「仕事をいつも無茶ぶりする上司がいて困る」
「お母さんがいつも一方的に電話をしてきて、電話に出ないと怒る」
相手の言動により辛い思いをしていて、本当はやめてほしい。
でも、自分の気持ちを伝えて、それで相手との関係が壊れてしまったり、気まずくなったりするのは怖い。
本当に悩ましいですよね。
「一体、私はどうすればいいんでしょうか?」
こんなご相談を多く受けます。
もしあなたがこのような悩みを日常的に抱えているなら、私はあなたにまず伝えたいです。
あなたは、「私はどうしたらいいんですか?」ではなく、まずは「自分がどうしたいのか」をじっくりと考える必要があります。
そのためにも、今日は気持ちを整理することに役立つ「人間関係の三本柱」を紹介します。
① 目的 「相手にどうしてほしいのか」
② 人間関係 「相手とどんな関係でいたいのか」
③ 自尊心 「自分はどうありたいのか。どんな自分なら後悔しないか」
自分が困っている相手との問題についてどうしたいのか、この3つに回答していきます。
冒頭に紹介した女性の悩みを例に、①と②を埋めてみます。
(あくまでも例文です)
① 目的 「両親に転職を認めてほしい。私の意思をもっと尊重してほしい」
②人間関係 「親を怒らせたくない。できるだけ良い関係でいたい」
誰もが、できるだけ人間関係の摩擦を避け、目的を果たしたいものだと思います。
ただ、それがうまくいかない時に人間関係のストレスを感じるのではないでしょうか。
転職を認めてほしいけど、反対する親との摩擦は避けたい。
このような場面に遭遇した際に、あなたがいつもどのように行動しているのか、振り返ってみましょう。
共依存の傾向にある人は、このような場面の多くで、「目の前の相手との人間関係を良好に保つこと」を優先して行動しがちです。
つまり、相手との関係を優先しすぎるあまり、自分の気持ちを押し殺し、いつまでも目的を果たすことができなくなるのです。
本当は転職したいのに、親が反対するからできない。
結果、そんな自分を惨めに感じ、自尊心が低下していきます。
惨めさは怒りになりやすいため、その怒りは更なるトラブルを招きやすくなります。
例えば、職場では「人間関係」優先で仕事を一切断れずにストレスをため込む。
そのストレスは、家で子どもに向かい、怒りをぶつけてコントロールをしてしまう。
職場では「人間関係」を優先して辛い思いをし、家では自分の「目的」を優先して子どもを傷つけてしまう。
このように、人間関係が極端になりやすいのです。
どちらの自分も、きっとあなたがなりたい自分ではないはずです。
だから、より自尊心が下がり、慢性的に人間関係のストレスを蓄積していきます。
※関連記事
大切なのは、あなたの「自尊心」
親に転職を認めてほしい。
でも、親ともめたくない。二人を怒らせると大変だ!
このような苦しい葛藤を抱えている時に、大切になるのはあなたの「自尊心」です。
① 目的 「相手にどうしてほしいのか」
② 人間関係 「相手とどんな関係でいたいのか」
③ 自尊心 「自分はどうありたいのか。どんな自分なら後悔しないか」
よく考えてみましょう。
あなた自身は、本当はどうしたいですか?
どんな自分なら後悔しないですか?
どんな行動をとれば、自分にOKを出せますか。
「親が反対するから駄目だ!」「自分はなんて不幸なんだ!」で終わらせるのではなく、あなた自身が本当にどうしたいのか、どうありたいのか。
自分の本当の気持ちを確認しましょう。
例えばですが、
「私の人生のことだから、やっぱり私は自分で決めたい。親に反対されても、絶対に転職したい。このまま親の言いなりになって生きるくらいなら、親との関係が壊れても仕方がないことだ」
あなたが本当の自分の気持ちに気づくことができれば、例え行動に移せなかったとしても、まずはそれだけで十分に価値のあることです。
共依存タイプの方は、常に目の前の人間関係を優先することが習慣になっていることもあり、自分の本当の気持ちを常にないがしろにしています。
つまり、自分が本当はどうしたいのかにほとんど目を向けていないし、気づいていないことが多いのです。
だから、まずは自分の自尊心に目を向けてあげるだけでも、大きな気づきになり、それが行動の変化につながることもあります。
もしあなたが日々人間関係で苦しい思いをしているなら、今回紹介した「人間関係の三本柱」を使い、自分が本当にどうしたいのかを点検する習慣を持つことをお勧めします。
ぜひ、取り組んでみてください。
最後に、ひとつ注意してほしいことをお伝えします。
よくこの話をすると、「自尊心」に「相手にいつまでも好かれていたい」「相手の喜ぶことをする自分でいたい」と回答する方がいらっしゃるのですが、これは「自尊心」ではなく「人間関係」です。
「相手の喜ぶことをする自分でいたい」という気持ちはもちろん大事にしてもらってかまいませんが、「相手がどうか」ではなく、あなた自身がどうしたいのか、どうありたいのか。
まずはそこに目を向けることから、始めて見てください。
「どうにも自分の気持ちがわからない」という方は、ぜひカウンセリングをお勧めしたいです。
カウンセリングを受けることで、あなたは自分の本当の気持ちに気づき、自尊心を大切にできるようになっていきます。
お気軽にご相談ください!
※関連記事
◆「自分が安心したいこと」を「心から望んでいること」だと思いこんでいるから、いつまでも苦しさから抜けられないのではないですか?