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共依存を克服する方法②「間(ま)をつくり、自分の気持ちを確認する」

 

「共依存を克服する方法」の第2回です。

 

共依存の問題でカウンセリングに来るクライエントさんとお話していると、人の誘いや頼まれごとを断れずに引き受けてしまうことで疲れている方に多くお会いします。

 

「昨日、友達からお金を貸してほしいと電話で言われちゃって、すごく困ってたから、ついつい貸すと言っちゃいました。20万です。そんな高いお金を貸したことなんてなかったから、電話を切ってからすごく後悔しました。今から断るとさすがにまずいですよね?」

 

「子どものクラスの役員をすぐに引き受けちゃうんですよ。去年は上の子、今年は下の子です。私も忙しいから本当は他の人にやってもらいたいんですけど、なんでしょうね。保護者会で誰も手を挙げないから、どうもその沈黙が辛くて…。私がやらなきゃいけないのかなと思って手をあげちゃうんです」

 

皆さん、とても真面目で優しい方が多いのです。

 

あなたもこんな傾向はありませんか?

 

「共依存を克服する方法」の第2回は、「断れない」「ついつい頼まれごとを引き受けてしまう」などの悩みを抱える人が、今すぐできる取り組みについて説明していきますね。

 

※参考記事

共依存を克服する方法①「相手の感情に巻き込まれない習慣作り」


頼まれたり誘われたりしたら、「今すぐに」返事をしないといけないと思っている。

共依存の人の特徴の一つとして、「相手と時間的な距離がおけない」ということが挙げられます。

 

「時間的な距離がおけない」という表現は少しわかりづらいですよね。

 

具体的な例を出します。

 

・LINEが来たら、すぐに返事をする。

 

・仕事を頼まれたら、すぐに引き受ける。

 

・友達から「日曜の夜空いてる?」と聞かれたらすぐに「空いてるよ!」と返事をする。

 

・夫が悩んでいたら、今すぐに不安を取り除いてあげようとして一生懸命に相談にのる。

 

・職場で電話が鳴ったら、誰よりも早くとる。

 

このように、相手との関係の中で、「今すぐに」反応する習慣がついています。

 

そのため、余裕がないのに仕事を引き受けたり、本当は休日ゆっくりしたいのに予定を入れてしまうなどして、日常的にストレスが高くなります。

 

こういう傾向がある方とお話をしていると、皆さん同様に「すぐに返事をしないといけない」と思いこんでいることが多いんですよ。

 

「誘われたらすぐに返事をしないと相手に失礼ですよね」

 

「せっかく友達が誘ってくれてるんだから、待たせるのはよくない」 

 

今すぐに相手に反応をしないと、人間関係が壊れてしまうのではないか。

 

こんな不安から、「今すぐに」反応する行動が習慣化している。

 

または、不安や恐怖などの自覚はそこまでないものの、「相手を待たせてはいけない」「すぐに返事をするべきだ」という強い道徳的な価値観から「今すぐに」反応する。

 

あなたにもこんな傾向はありませんか? 


「今すぐに反応する習慣」のデメリット

 

今すぐに反応する行動が定着している人は、「自分がどうしたいか」よりも、常に「目の前の相手との関係」を優先しているという特徴があります。

 

相手に嫌われないように、見捨てられないように、必要としてもらえるように

 

あなたは今すぐに相手が望んでいると思われる反応をしていますよね。

 

それにより、あなたに仕事を引き受けてもらえた上司は嬉しそうにするでしょう。

 

あなたに面倒な役回りを引き受けてもらえる友達も、あなたに感謝するでしょう。 

 

あなたが目の前の相手との関係を優先し、今すぐに反応することで、周囲からの信頼や評価など得られるものはもちろんあるはずです。

 

でも、そんなあなたはとても大切なものを毎回犠牲にしています。

 

なんだかわかりますよね?

 

そうです。

 

あなたは、いつも「自分の気持ち」を犠牲にしているのです。

自分の気持ちを常に後回しにするということは、自分を大切にしていないことになります。

 

その日々の積み重ねは、あなたをとても惨めな思いにさせ、自信が下がっていきます。

 

自信が下がれば不安になり、余計に相手の顔色が気になります。

 

嫌われないように、見捨てられないように

 

結果、今すぐに反応するあなたの習慣はよりエスカレートし、まさに悪循環に陥るのです。 


「間(ま)」を作り、自分の気持ちを確認する。

 

「本当はどうしたかったんですか?」

 

相手と時間的な距離をとることが苦手なクライエントさんに私からこんな質問をすると、「よくわかりません」と答える方が多いです。

 

それはそうだと思います。

 

なぜなら、目の前の相手との関係を常に優先していると、自分の気持ちを確認しなくなるからです。

 

「自分がどうしたいか」ではなく「この場ではどうするべきか」

 

こんなことばかり考えていれば、いつの間にか自分の本当の気持ちはわからなくなりますよね。

  

あなたがその時、本当に望んでいること。

 

あなたの本当の気持ち。

 

誘われた飲み会に行きたいのか、それともその日は家でのんびりしたいのか

 

母親から「帰ってきなさい」と言われたけど、実家に帰りたいのか、帰りたくないのか

 

「私はどうするべきかな…」「他の人ならどう考えるのかな?」なんていう考えは、一旦脇に置いておきましょう。

 

それよりも

 

「あなたは、本当はどうしたいのか」

 

まず、ありのままのあなたの気持ちを確認する習慣。

 

これを作るところから始めましょう。

 

そのために、必要なのは「間(ま)」を作ることです。 

例えば

 

・LINEが来てもすぐに返事をしない。最低5分は空ける。

 

・友達から飲み会に誘われたら即答せず、「予定を確認して、また連絡するね」と言う(例え誘われた日が空いていても、「空いてる」と言わずに保留しましょう)。

 

・頼まれごとをしたら、「ちょっと考えたいので時間をください」と言う。

 

 このように、即答せずに自分の気持ちを確認するための時間をとる習慣をつけましょう。

 

それが10秒でも、1分でも、どんなに小さな間でもいいです。

 

とにかく、少しでも自分の気持ちを確認すること。

 

これを大事にしましょう。

 

できれば、

 

お風呂にゆっくり入って考える、コーヒーを飲みながら悩んでみる、一晩寝てから返事をする、友達に話をしてみて結論を出すなど、あなたにとってより良いやり方を見つけましょう。

 

「週末はのんびり家で休みたいな」

 

「あの人のいる飲み会には行きたくないな」

 

「今日は疲れたから、早く帰りたいな」

 

自分の気持ちを確認して、伝えられる相手や状況であれば、自分の気持ちを優先してみる。

 

こうやって、習慣を変えていくのです。 

「本当は飲み会に行きたくないんだけど、やっぱり断るのは悪いから行くしかないな」

 

結果的に相手との関係を優先したとしても、自分の気持ちをちゃんと確認することから始めればOKです。

  

大切なのは、あなたの本当の気持ちに、あなた自身が関心を持つこと。

 

それは、自分のことを大切に扱うことであり、これそのものに大きな価値があるのです。

  

あなたにできるところから始めてみましょう。