· 

「自分が安心したいこと」を「心から望んでいること」だと思いこんでいるから、いつまでも苦しさから抜けられないのではないですか?

 

ここ最近、「自分軸」という言葉をインターネットでよく見かけます。

 

現代は情報過多で便利な面も大いにありますが、情報が多すぎることの生きづらさも当然ありますから、影響を受けやすい人にとっては翻弄されて自分を見失ってしまうこともあるはずです。

 

SNSを見ては友達と自分を比べて「私ってダメだな」と落ち込んだり、タレントや著名人が発信するメッセージに振り回されたり

 

そう考えると、確かに自分の軸をはっきりと持っておくことが必要であり、「自分軸」という言葉をしっくり感じる方が多いのも頷けます。

 

今日は自分軸の話をするわけではありませんが、人間関係でいつも振り回されてストレスを溜めている方に共通して見られる「自分を見失うパターン」を説明します。

 

この話は、誰もが陥る「悪循環の落とし穴」とも明言できるほどに重要なことです。

 

いつも苦しい人間関係で悩み、今日も頑張っているあなたも、このブログを読んで気持ちの整理を行ってみてください。

 

まず、彼との関係で苦しんでいる女性の悩みを紹介します。


「彼の不機嫌に悩んでいます…」

 

同棲している彼との関係で悩んでいます。

 

彼は普段は優しいんですけど、感情の起伏が激しくて、急に不機嫌になって黙ってしまうことがあるんです。

 

先週も、仕事でなにかあったみたいで、帰ってきてから一言も話さないんです。

 

夕飯を食べている時も無言で、私も何も声をかけられなくて。

 

その不機嫌は、一晩で直ることもあれば、何日か続くことがあります。

 

その間、私は息が詰まるような思いで過ごしています。

 

早く不機嫌が直ってほしくて、できるだけ彼の機嫌が直るような行動をとっています。

 

それだけじゃなくて、彼の機嫌が良い時も、最近は彼の機嫌を損ねないように行動しています。

 

彼を怒らせないように

 

少しでも機嫌よく過ごしてくれるように

 

私はそうやってますね。

 

相談したいんですけど、私は彼にどう対応したら良いのでしょうか。

 

こんな関係はおかしいなと思うんです。

 

でも、彼に不機嫌になってほしくなくて。

 

少しでも明るく過ごしてほしくて。

 

自分自身がどうしたいのか、それがよくわからなくて。

普段、恋愛や夫婦関係についてのご相談は多く受けますが、このようにパートナーの方が感情的で、それにいつも振り回されて疲弊している方は本当に多いですよね。

 

この相談者の方のように、「怒らせたくない」「不機嫌になってほしくない」という思いで行動してしまうのも、それは無理のないことかと思います。

 

その一方で、「こんな関係はおかしいのでは?」「私はどうしたらいいの?」といった葛藤が生じることも、また自然のことですよね。

 

苦しい人間関係の悩みに陥った際の気持ちを整理する方法については、共依存を克服する方法⑧「自尊心に意識を向ける」で紹介していますが、今回はより突っ込んで話をしていきますね。


今、あなたが「安心したいこと」は?

 

この女性からの相談以外にも、例えば、子どもが学校に行きたがらなくて悩んでいるとか、仕事を辞めようかどうか悩んでいるなど、どんな悩みでも大丈夫なので、ちょっと考えてみてください。

 

あなたは、今の状況がどうなれば安心できますか?

 

「彼が怒らないでいてくれることです。いつも機嫌が良く過ごしてくれれば安心できます」

 

「子どもが学校に行ってくれれば、本当に安心できます!」

 

このように回答する方が多いのかなと思いますし、当然のお気持ちであると思います。

 

安心したいけど、どんなにがんばってもなにも変わらない。

 

だから、あなたは毎日とても苦しんでいます。

 

「どうすれば、彼は変わってくれますか?」

 

「どうすれば、うちの子どもは学校に行ってくれるでしょうか…」

 

このように、あなたは早く安心したくて、対応方法をネットで検索したり、本を読んだりして、自分が安心するための行動を今日もとり続けているのですよね。


あなたが「心から望んでいる」のは、どんな毎日を送ることですか?

 

では、次の質問をします。

 

あなたは、どんな毎日を送ることを望んでいますか?

 

あなたが心から望むのは、どんな生活でしょうか。

 

ここで意識してほしいのは、「彼が不機嫌にならなければ」「息子が学校に行けば」といった、「相手がこうあれば」という条件付きは外してください。

 

相手がどうだろうと関係なく、あなた自身がどういう生活が送れたら、どんな過ごし方ができたら幸せなのか。

 

どんな気持ちで、どんな一日が過ごせたら嬉しいのか、幸せなのか、心地よいのか。

 

純粋に考えてみましょう。

 

「そういえば、同棲する前は、夜はのんびりとライブのDVDを見て過ごしてたっけ。ああいうふうに、のんびりと楽になれる時間が好きだったな。私って、穏やかにのんびりと暮らせることが好きなんだな」

 

「独身の時は、年に何回か旅行していました。旅行が楽しみで、仕事を頑張ってお金をためていました。ああいう生活が好きでした。最近は子どもが学校に行くかどうか、頭の中はそればかりで、昔の私の生活とは心もかけ離れてますね…」

 

ここまで整理してみると気づくかと思いますが、「安心したいこと」と「心から望んでいること」は違うことが多いのです。

 

でも、毎日辛い悩みを抱えて過ごしていると、「安心したいこと」を「自分が心から望んでいること」だと思いこみ、疑わないようになってしまうんですよね。


「安心したいこと」を「心から望んでいること」だと思いこむと、人生の迷子になる。

 

ただただ自分が安心したいだけのことに毎日を費やしていると、当然ですが自尊心が低下します。

 

「私って、なにやってるんだろう」

 

「こんなことのために生きてるんじゃない気がするんだよな…」

 

なんとなく自分に対する惨めさが募り、落ち込みやすくなったり、体調を崩しやすくなります。

 

そんな状態を脱したいと思うと、目の前にある不安な問題をなんとかしようと思いますよね。

 

「彼を怒らせないように」

 

「子どもが学校に行ってくれれば!」

 

安心するための行動を重ねるほどに、自分が本来望んでいる生活とはかけ離れていきます。

 

でも、それが自分の望みだと思いこむわけですから、迷子のような状態に陥り、日々が停滞していきます。

 

だから、自分が本当は何を望んでいるのかをきちんと整理して、軸を整えていく必要があるわけです。

 

「そうか、私って、本当はもっと穏やかな生活を望んでいるんだな」

 

冒頭に紹介した彼との関係で悩んでいる女性が、例えばこのような気持ちに気づけたら、より現実的に悩むことができますよね。

 

ただただ彼の機嫌を損ねないように過ごしていた日々と比べても、解決の形もまた変わってくるでしょう。

 

共依存の問題を抱えている方は、この「安心したいこと」と「心から望んでいること」の区別が苦手な方が多いです。

 

自信が低く、常に「自分がどうしたいか」よりも「どうあるべきか」を考える習慣がついていますから、本当は自分がどうしたいのかがわかりづらくなりますよね。

 

一人で考えてもよくわからないという方は、ぜひカウンセリングで一緒に気持ちの整理を行いましょう。

 

いつでもお待ちしています!