共依存を克服する方法の第6回です。
今日は、共依存の人間関係において特徴的な「相手を納得させようするコミュニケーション」の話をします。
「お母さん、お願いだからわかってよ。そんなに毎日電話できないから。今日だって疲れてるからもう寝たいの。お父さんと何かあったんだと思うけど、私は聴けないから。え?冷たい?なんでわかってくれないの?(このまま電話がずっと切れずにやりとりが続く)」
「早く退職したいんだけど、上司が『今は困る』と言ってなかなか許してくれなくて。だから辞められなくて困ってるんです」
「何度言っても部下が資料を提出しないし、指示に従おうとしないんです。二人で話しても、いつも回答をあいまいにするし。本当に困りました。今日もこれから話をしてみるつもりです。こんなことを半年以上も繰り返しています」
あなたは、これらのメッセージの共通点がわかりますか?
これらに共通して言えるのは、自分が望む対応をしてくれない相手をいつまでも変えようとして、結局相手に巻き込まれ、問題が長引き疲弊するということです。
※関連記事
◆共依存を克服する方法①「相手の感情に巻き込まれない習慣作り」
◆共依存を克服する方法②「間(ま)を作り、自分の気持ちを確認する」
◆共依存を克服する方法③「イネイブリングを点検する5つの質問」
相手を「納得させること」に固執すると、人間関係のストレスが増える。
相手に要求を受け入れてもらいたい場合、初めは「相手との関係を壊さないように、自分の望んでいることを伝えて、相手の事情を考慮しながらお願いしてみる」というやりとりは安全であり、多くの人がそうしているのではないかと思います。
ただ、あなたが相手との人間関係を優先し、相手の気持ちを尊重しながら対応をしているのに対して、相手が全くあなたの気持ちを尊重せず、自分の要求ばかり通すとしたらどうでしょうか。
あなたがいくら「今日は話が聴けない」とお願いしても電話を切ってくれなかったり、「退職したい」と訴えても全く取り合ってくれなかったりしたら、あなたはどのように対応しますか?
このシチュエーションこそ、人間関係でストレスを蓄積する人と、そうでない人で大きく行動が変わります。
共依存傾向にある人は、それでもなんとか相手を変えようとして、「納得してもらうこと」に固執します。
何度も何度もお願いして、その度に相手に巻き込まれ、いつまでも要求を受け入れてもらえずに問題が長期化します。
そのため、怒りや恨み、無力感や不全感が強くなり、心身ともに疲弊していきます。
この傾向にある人は、「変わらない相手」に対して自分の限界を示して行動することができないのです。
自分の限界を判断して「伝える」ことで、人間関係は変わる。
では、「変わらない相手」に対して自分の限界を示せると、どのように人間関係が変わるのでしょうか。
「何度も伝えてるけど、今日は電話できないから。わかってもらえないのは残念だけど、今日は電話を切るね。お母さんの気持ちもわかるけど、私の事情ももっと尊重してほしいの。それじゃ、電話を切るね(電話を切る)」
「退職の時期についてはもちろん職場の事情を考慮します。でも、遅くても3月末には退職させて頂きます」
「3カ月前から指導をしているにも関わらず、今月も資料の提出を守ってもらえませんでした。残念ですが、あなたが行動を変えない限り、その責任はあなた自身が背負うことになります」
変わらない相手に対して、あくまでも「相手との関係を壊さないこと」を優先しているのが「納得させる」です。
一方で、「伝える」は、相手の気持ちや人間性は尊重しながらも、自分の「目的」と「気持ち(自尊心)」を優先しようとしています。
変わらない相手に対して、自分のスタンスを明確にする。
これが「伝える」なのです。
人間関係でいつも疲れやすい傾向にあるあなたは、いつも相手を「納得させる」ことにこだわっていませんか?
もしその傾向があるなら、「伝える」ことを意識して人間関係を構築する習慣をもつことで、今よりもストレスを軽減することが可能です。
お伝えしておきたい注意点は2つ。
ひとつは、「伝える」内容は、あくまでも自分にできることにしましょう。
そうでないと単なる脅しにしかならず、より相手に巻き込まれます。
2つ目は、相手の人間性を尊重すること。
そうでないと、相手を攻撃するただの冷たいメッセージになってしまいます。(もちろん、どれだけ尊重しても「攻撃された」「冷たい」と受け取る相手はいるでしょう)
相手の人間性や考えは尊重する。
でも、自分の限界は明確にして伝える。
これが大切です。
また、このやり方は、相手との関係に摩擦が生じることを恐れる方には特に難しいコミュニケーションです。
そんな方は、ぜひ以下のブログ記事も参考にしてください。
▶共依存を克服する方法①「相手の感情に振り回されない習慣づくり」
▶共依存をやめた直後の激しい不安や落ち込みは、あなたを成長させるためにある。
あなたにできることから始めてみてください。