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「これって過干渉?」子どもへの過干渉をやめたいけどやめられない方に知ってほしいこと。「過干渉になる原因」と「子どもへの影響」とは。

 

「私がやっていることは子どもへの過干渉なのかどうかわからない」という方も多いのですが、逆に、「子どもへの過干渉をやめたいけど、やめられない」

 

このように感じて苦しむ人もいます。

 

実際は子どもに対して愛情があるがゆえに、子どもに対してなんでも代わりに口を出してやってしまったり、子どもの行動が気になって全てを把握したいと思い、子の行動ひとつひとつに指摘してしまうという場合があります。

 

これは、親であれば子ども可愛さからの愛情でもあると思うのですが、子どもの気持ちを考えてみると親の愛情と受け取っていないのかもしれません。

 

特に、最近は小学生や中学生がスマートフォンを持つことが当たり前になり、それに伴いLINEでのいじめやオンラインゲームの課金トラブル、またSNSによる事件被害など、様々な問題が増加しています。

 

共働きの世帯が増えていることもあり、働くお母さんにとっては子どもに十分に目が行き届かないため、ついつい交友関係や勉強、部活など、色んな事が心配になり口を出してしまうということもあるでしょう。

 

カウンセリングでも、「ついつい子どもに過干渉になってしまう」「子どもに嫌がられていて、自分でも良くないとわかっているのにやめられない」と過干渉や過保護がやめられずに困っている方の相談を多く受けるようになっています。

 

そのため、今回は「過干渉がやめられない」とお困りの方に向けてブログを書いてみようと思います。

 

まず、過干渉がやめられなくて悩む女性の相談からご紹介します。


「言わない方がいい」とはわかっているのに…。それでもついつい口出ししてしまう。

中学生の娘への過干渉をどうしてもやめられません。

 

私が過度な心配性であることもあり、娘が小さいころから、学校でいじめられてないかとか、宿題はちゃんとやってるのかとか、授業の内容はわかっているのかとか、あれこれ気になり口を出してきました。

 

今日はお友達とはどんなことをしたのか、習い事は真面目にやってきたかとか、早く寝なさいとか、色んなことです。

 

時には反発されることもありましたけど、「あなたのために言ってるんだ」「あなたはまだ子供だからわからないだけで、お母さんの言うことをきいてればいいんだ」と言って、強く叱ることもよくありました。

 

去年から娘がスマホを持つようになってから、より過干渉が強くなっていると思います。

 

LINEのやりとりが気になって気になって仕方がなくて、逐一報告を求めるようになりました。

 

実際にLINEのやりとりを確認することもあります。

 

娘は私に対して呆れているというか、もう慣れているんだと思います。

 

イヤそうではありますが、そんなに文句を言わずにスマホの画面を見せてくれますけど、それはそれで心配です。

 

普通はもっと抵抗したり、怒ったりしますよね?

 

娘は、きっと私に何を言っても無駄だと思っているんでしょうね。

 

あと、もう一つ気になるのが、どうも最近あまり学校に行きたがらないんです。

 

LINEでは同じ吹奏楽部の友達と楽しそうにやりとりしてるんですけど、実際のところは違うのかな…

 

学校の先生にも相談したんですけど、学校では普通らしくて。

 

でも、あまり友達に自己主張しないらしくて、それは先生も気になると言ってました。

 

私の育て方が悪かったんでしょうか…

 

ただただ、娘が嫌われないように、間違った方向にいかないように、辛い思いをしないように

 

そう思ってやってきました。

 

でも、私が過干渉なのはわかっていて、娘が自分の失敗から学ぶ経験を奪ってきてしまったと反省しています。

 

娘のためにも変わりたいと思っているのですが、どうしても過干渉をやめられません。

 

ちなみに夫は仕事が忙しくて、どちらかというと子どものことにはそこまで関心を示しません。

 

これから私がどうしたらいいのか、教えてほしいです…。

ここまで読んでみて、同じような悩みを抱える方は「私も同じだ!」と思うのではないでしょうか。

  

あなたは「愛する我が子のため」と思ってやってきたことですが、どうも自分の行動にコントロールが利かない。

 

それによって、子どもとの関係が悪くなるし、何よりもそんな自分のことが好きになれない。

 

本当はもっと子どもと仲良くしたいし、子どものことを信用して任せたい。

  

同じくらいの娘がいる友達は趣味のフラダンスを楽しんでるし、子どものスマホなんて見たことないと言っている。

 

それに比べて自分は、趣味を持つどころから、毎日毎日子どものことを気にして、一喜一憂して終わっている。

 

ママ友や職場の同僚に相談すると、「少しほっといたら?」「LINEは見ない方がいいよ。どっしりかまえなよ。大丈夫だから」と言われる。

 

でも、子どもに何かあったらどうするの?

 

いじめられてたら?

 

悪いお友達にそそのかされていたら?

 

ほっとくって、一体どこからどこまで?

 

そう考えると、今日もあなたは不安や心配に駆られ、子どもへの過干渉をやめることができません。

 

そうですよね?

 

これは本当に辛く苦しいことです。

 

あなたは、ただただ子どものことを思っているだけ。

 

子どもが心配だし、危険な目に遭ってほしくない。

 

幸せに育ってほしい。

 

本当に、とても優しいお母さんなのです。

 

だからこそ、子どもの成長を見守ってあげたい。

 

そして、それができないからこそ苦しんでいるんですよね。

 

自己嫌悪、情けなさ、罪悪感などに襲われ、疲弊しているのではないでしょうか。

 

あなたは本当にがんばっていると思います。

 

ここから、そんなあなたが過干渉から抜け出すために、まず最初に理解してほしい大切な話をします。

 

ぜひ読んでみてください。


親の過干渉が子どもに及ぼす影響とは。

 

「過干渉って子どもにとってよくないですよね?」

 

こんな質問をよく受けるので、まず「過干渉が子どもに及ぼしやすい影響」について、代表的な2つの特徴を説明しておこうと思います。

 

※あくまでも一般的によく認められる傾向として説明しますので、「必ずしもそうなる」と決めつけているわけではありません。

①人間関係に対する不全感や無力感が強くなり、自己主張が苦手になる。

親の過干渉は、言い方を変えれば子どもに対する「コントロール」とも言えます。

 

コントロールを受ける子どもは、「自分がどうしたいのか(自分の欲求)」よりも「どうするべきか(親の欲求)」を優先する方が波風が立たなくて済むことを幼少期に学びます。

 

過干渉の人は心配性な方が多い傾向にあるので、子どもが自分の思い通りにならないと、良くないとわかっていても、ついついイライラしたり不安定になってしまいやすいんですよね。

 

だから、子どもは「どうせ言ってもだめ」「きっとお父さんやお母さんが許してくれない」と考えます。

 

友達との関係で悩むことがあっても、「こんなことを言うとお母さんが心配してしまう」「言うと面倒なことになる」と一人で抱えやすくなることもあります。

 

その結果、家でも学校でも言いたいことが言えず、人間関係に対する不全感や無力感が募っていきます。

 

言いたいことを言わないわけですから、結果として自己主張も苦手になります。

 

自己主張が苦手というのは、「全く自己主張しない」というわけではありません。

 

人によっては、学校ではとても大人しいのに家では親に暴言を吐いたり、妹や弟をいじめたりするなど、「相手によって極端になりやすい」という特徴もあります。

 

「小学生までは家では素直でいい子」だったのに、「中学生になり、急に親に反抗的になる」なんていうことも決して珍しくないのです。

②主体性が乏しくなり、依存的になる。

過干渉の人の特徴は、子どもの意思決定を尊重して見守ることがどうにも苦手で、あれこれ口を出して決めてしまうということが挙げられます。

 

例えば、子どもが「中学からはバスケ部に入りたい!」と言っても、「ダメよ。バスケなんて練習が大変だし、厳しいからあなたになんてできるわけないよ。せっかくここまで続けたんだから中学も吹奏楽部にしなよ。吹奏楽部なら仲のいい友達も多いでしょ?」と、ついつい入り込んでしまうのです。

 

それでも子どもがバスケ部を選択したとしても、その後もあれこれと口を出し、部活のことで悩んでいたら「だからお母さんの言うことを聞いていれば良かったのよ!」と責め立ててしまいます。

 

そのため、子どもは自信をなくしやすく、自分で決めることが苦手になりがちです。

 

その結果、主体性が乏しくなり、他人に意思決定を委ねるなど依存的な傾向が増していきます。

 

つまり、過干渉な親を突っぱねて自立するというよりも、より親を頼り、離れられなくなるようなイメージです。

  

実際に、親から過干渉を受けて育った大人で、「親のことは嫌い」「放っておいて欲しい」という気持ちの一方で「家を出るのが怖い」「一人では何も決められない」という葛藤を抱えている人は少なくありません。

 

また、仕事面では、指示されたことは忠実にこなすものの、責任の伴う仕事や意見を求められる場面(つまり、主体性を求められる状況)で強いストレスを感じてしまい、体調を崩すなどして仕事がうまくいかないという人にも多く出会います。

 

他にも例を挙げると

 

「彼女と結婚するか悩んでいる」「転職をしようか悩んでいる」

 

このような相談でカウンセリングに来る方もいらっしゃいますが、その問題の本質には「自分で決めることができない」という深く重い悩みを抱えている方も少なくないのです。


過干渉の原因①「親が自分の不安と付き合えない」

 

ここから、過干渉をやめたいあなたに自分自身の振り返りをして頂こうと思います。

 

過干渉になりやすい人にありがちな特徴を3つ挙げていきますので、良かったら点検してみてくださいね。

 

まず一つ目は、「親が自分の不安と付き合えない」ということです。

 

「子どもが学校でいじめられていないか」

 

「今日は遠くまで自転車で行かせちゃったけど、交通事故に遭わないか心配だな…」

 

子どもの「行動を見守る」ということは、つまり、親にも自分の不安や心配と付き合うことが求められます。

 

親であれば誰でも子どもの身の安全を思い、不安に感じるのは当然のことです。

 

ただ、親がその不安と付き合えないと、すぐにパニックになってしまいます。

 

不安に付き合う力がない人は、不安を「今すぐに」安心に変えようと行動しますから、その結果、自分が安心できる行動を子どもに求め、行動を強くコントロールしてしまうのです。

 

※参考記事

◆不登校の子が、学校に行こうとすると「お腹が痛くなる理由」

◆共依存を克服する方法⑦「不安と賢く付き合う力をつける」


過干渉の原因②「親の共依存の問題」

 

「共依存」とは、自分の存在意義を見出そうとして、過剰に相手の世話をしたり、相手の責任や役割を背負ったりして、「相手に必要とされる状況を作り出す」関係性のことです。

 

母親が自分に対する存在意義を見出すために、「いつまでも母親として頼ってほしい」「もっと私を必要としてほしい」という思いを過剰に持ってしまうことで、子どもを自立させるような関わりが取りづらくなります。

 

「あなたは一人じゃ何もできないんだから、お母さんの言うことだけ聞いていればいいのよ!」

 

このようなメッセージの裏側に、親がいつまでも「子どもに子どもであってほしい」「母として頼ってほしい」という心理が働いていることもあるのです。

 

だから、子どもの成長に伴い適切に距離を置いて関わることができず、いつまでもずっと「子どもの頃のような」関係を求めてしまいます。

 

過剰に子どもに関わるあまり、子どもの気持ちを尊重することができず、結果として自立する力を奪ってしまうことがあるのです。

 


過干渉の原因③「夫婦関係の問題」

 

最後に振り返って頂きたいのは、夫婦関係の問題です。

 

「え?悩んでいるのは私の過干渉であって、夫は関係ないと思いますよ。夫は仕事が忙しくて、子どもにはけっこう距離を置いてますし」

 

こう思いましたか?

 

そうですよね。だからこそ、一度夫婦関係を見直してみてほしいなとも思うのです。

 

あなたは、子育てについて夫とよく話し合い、協力し合ってきましたか。

 

子育てについて、お互いに期待することや不満に思うことなどを、安全に話し合うことができる関係を築いていますか?

 

「夫にはどうせ言ってもダメだし」と期待することをやめて、「私が母親なんだから一人でがんばらなきゃ」と今日も一人で問題を抱え込んでいませんか。

 

私が過干渉の問題で悩む母親の相談を受けていて感じることですが、「母親が過干渉にならざるを得ない夫婦関係」が要因のひとつであることは決して珍しいことではありません。

  

「夫が仕事で忙しくて、ほとんど子どものことは私一人でやっています。休日は夫はいつも自分の趣味優先で、子どもが病気の時も堂々と趣味に出かけていきました」

 

「息子が問題を起こした時に、夫はいつもガツンと怒るだけで、子どもと真剣に向き合って話をしてくれません。本当は、こういう時こそ男同士で話し合ってほしいんです。でも、ただ怒るだけだから息子も心を開かないし、結局私がやるしかないんです」

 

「夫はお酒が大好きで、家にいても酒を飲んでばかりで。娘も夫がお酒を飲むことを嫌って、すぐに部屋に上がっていってしまいます」

 

これらは、この一年に私が実際に相談に訪れた母親から聴いた話です。

 

もちろん、これだけで「夫が非協力的である」とは断言できません。

 

中には、母親が過剰に役割と責任を背負いすぎることで、結果として父親が育児に口出しができなくなる関係もよく見られます。

 

夫婦で父母としての役割を共有し、お互いに支え合い話し合える関係を築けなければ、一方が親としての役割を背負い、結果として過剰な関わりになってしまうことは不思議なことではありません。

 

もともと自分の不安と付き合うことが苦手な母親が、夫の情緒的なサポートがないことでより不安を抱えられなくなり、そんなつもりはないのに結果として子どもをコントロールしてしまう。

 

ついつい、言わなくてもいいことを口うるさく言ってしまう…

 

このようなことはあなたにありませんでしょうか。

 

もしそうだとすれば、あなた自身が、夫との関係に無力感や不全感を覚えているのかもしれません。

 

それだけではなく

 

あなたは、元々人間関係に不全感を抱きやすく、うまく自己主張できずに、問題を抱えやすい傾向がないでしょうか。

 

そして今回も、一人で問題を抱え込み、夫に言いたいことも言えず、ただただ一人で背負い続けていませんか。

 

あなたがそのような状況でお一人で悩んでいるなら、それはとても辛く苦しいことであると感じます。 

 

※参考記事

◆子どもにすぐにキレて怒鳴ってしまい、自己嫌悪で苦しむあなたに知ってほしい「怒りの本当の理由」


過干渉はカウンセリングで改善できる。

 

「カウンセリングを受けて半年ですが、おかげで息子に朝からガミガミ言うことがなくなりました。前は子どもが朝起きてこないと、学校に行かなくなるんじゃないかと思って怖くなっちゃって、つい口うるさく言ってしまって。それで子どもにも反発されて大変でしたけど。今は息子も自分から学校に行くようになったし表情もいいので、私が口うるさかったんだなと思って反省してます」

 

「カウンセリングを3回受けて、私がいかに娘の気持ちを尊重していなかったかがよくわかりました。なんだか力が抜けて、そのせいか娘に余計なことをいわなくなりました。まだ不登校は直っていませんが、前は私が仕事から帰るとすぐに部屋に入ってしまった娘が、おかえり!と言って普通にリビングで迎えてくれるようになりました。娘を変えるよりも、私が変わる必要があったんですね」

 

これらは、カウンセリングで過干渉を改善し、それにより親子関係が良好になったクライエントさんのお話です。 

過干渉になるのは、あなたが子どもを「変えたい」「正したい」と思うからではないでしょうか。

 

でも、あなたが思うように子どもを変えることは解決にはならないし、あなたの苦しみは増すばかりではないかと思います。

 

だからこそ、今のあなたに必要だと思うこと。

 

それは、「あなた自身が変わるための行動を起こしてみること」です。

 

今はお子さんをついつい「管理」してしまうあなたが、「管理」ではなく、心からの「見守り」ができるようになる時、今よりももっと心穏やかに生活を送ることができるはずです。

 

いつでもお気軽にご相談ください。

 

お待ちしています。

 

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