「少しずつではありますが生きている感覚が芽生えてきました」

 

クライエントさんからカウンセリングの感想を頂きましたので、紹介いたします。

 

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カウンセリングを受けようと思ったのはメンタルの不調を起こし休職をし、一年程経った頃でした。

 

そろそろ仕事の事を考えようと思った時分に、自分の考え方を見つめなおさないとまた同じように心を病んでしまうのではと思ったのがきっかけでした。

 

予想していた以上に自分には効果があるように思います。

 

まず、これは加齢によるものかもしれませんが、疲れを感じるようになりました。

 

以前であれば疲れを知らないので倒れるまで頑張ってしまうこともありました。

 

また考え方を治す…というのはなかなか難しいですが、自分の癖を認識することが出来るようになりました。

 

例えば、頼まれごとをして「本当は少し面倒で断りたい」と思っていてもその心の声に気付くこともなく請け負って居ましたが、いまでは「ああ、自分は今断りたいと思っているんだな」と思う様になり、一回勇気をだして断ってみたところ、特に問題なく済んだことがあり驚いたことがあります。

 

今までにない経験でした。

 

以前から原家族との関係性や、自身の生きていく上での経験に何かしら問題があるとは思っていましたが、あまり重要には感じませんでした。

 

しかし年を取るほどに生きづらさが高まってきました。

 

何故ならいつまで経っても自分が生きているという感覚がなく、世の中と自分の存在が乖離してみえたからです。

 

カウンセリングを通して、このことが大きな問題として私を縛っていることが分かりました。

 

少しずつではありますが生きている感覚が芽生えてきました。

 

私の様に自分が分からない、生きてる心地がしない、死ぬことが救い、と思う様な事があれば、一度踏みとどまるような気持ちでカウンセリングを受けてみても良いのではと思います。

 

今でも「生きてるだけで丸儲け」なんてことは思えませんが、「生きててもよいのだ」とは思えるようになれたので、もっと自分を大事に出来るようにしたいです。

 

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嬉しい感想をいただき、ありがとうございます!

 

この方は、「ネガティブな考え方の癖を治したい」というご相談でカウンセリングにお越しになりました。

 

私は、初回相談で詳しくお話を聴かせていただいた後に、この方に次のように伝えたことをよく覚えています。

 

「おそらく、〇〇さんのネガティブな考え方の癖はしばらくは治らないのではないかと私は思っています。だから、治らないことで自分を責める必要はないですよ。まずは治らないことを受け入れて、できることを一緒に考えていきませんか?」 

 

「治らないものを治そうとして、それができなくて自分を責めてさらに落ち込んで、本当に苦しかったですね。大変でしたね」

 

このような私の言葉に対して、「はっきりと治らないと言われて、安心しました」と、涙ながらにお話ししてくれました。 

 

そこから継続してカウンセリングが始まり、現在9ヶ月くらいになるかと思います。

 

なぜ、私がこうもはっきりと「考え方はしばらく治らない」と伝えたのかというと、このクライエントさんは、自分の気持ちがよくわからなくなっていたからです。

 

例えば、友だちからランチに誘われた時に、自分の感情や欲求がわからないと判断しようがありませんよね。

 

「ランチに誘ってもらえて嬉しいな。楽しそうだな。この人と一緒だと安心できるんだよな」とか、

 

「この子はいつも自慢話ばかりするから、一緒にいると嫌な気持ちになるんだよね、行きたくないな」とか。

 

まず、自分の気持ちがわかって、そして自分の気持ちに従って行動をするのかどうか、それとも相手との関係を壊さないように「今回は付き合おうかな」みたいに、あれこれ考え、時には葛藤しながら判断をするものだと思います。

 

ただ、そもそも自分の気持ちがわからなかったとしたら、どうでしょうか。

 

友だちからランチに誘われたことで生じる自分の感情を把握できなければ、嬉しいのか、イヤなのかもわかりませんよね。

 

そうすると、当然ですが、あとは頭で考えて判断するしかありません。

 

「普通は友だちからランチに誘われたらどうすべきなのか」

 

「断ったら失礼になるのではないか」

 

倫理観に当てはめて考えるわけですから、常に「こうするべき」「こうせねばならない」と、自分の行動に正しさを求めるようになります。

 

自分は間違っていないか。

 

一般的にはどうするのか。

 

普通ならこんなことはしないはずだ。

 

このように生きていたら、物事の判断にあそびやゆとりがなくなり、常にストレスがかかります。

 

同僚のようにうまく力を抜いて仕事ができないし、「もっと気楽に」「適当に」「楽しんで」と言われても、よくわからない。

 

自分が周りと比べておかしな人間に見えて、より自信をなくし、生きづらさが募る。

 

「私って、生きていていいのかな」

 

このクライエントさんは、ずっとこう思って生きてきたようです。

 

このように、自分の気持ちがわからず、なおかつ存在価値を見出せないほどに自信が低下している状況で考え方を治そうとしても、うまくいくはずがありません。

 

だから、私は「考え方の癖を治すことは、まだまだ先になりますよ」「今は治せなくて当然だから、自分を責めないでくださいね」と伝えたのです。

 

その上で、「まずは少しでも、自分の気持ちがわかるようになること」を目標に、カウンセリングを行っていきました。

 

頼まれごとをした時に、今までのようにすぐに「どうすべきか」で判断するのではなく、「自分がどんな気持ちなのか」と心の声に耳を傾ける習慣を持つこと。

 

カウンセリングで幼少期からの様々な出来事を振り返って話し、どれだけ傷ついていたのか、本当は親や兄弟、友だち、職場の人たちにどうしてほしかったのかなどを点検すること。

 

このような取り組みを行ってきました。

 

このクライエントさんは、幼少期からの家族環境の影響で、自分のノーマルな感情を感じないようにすることが定着してしまっていたんですよね。

 

辛い、怖い、イヤだ、不安、苦しい

 

こういう感情って、生きていく上で本当はとても大切なものなのですが、「辛い」と口に出しても救われないことを学べば、子どもは感情そのものを消して生きていく術を身に着けていきます。

 

でも、辛いことを辛いと認めない生き方を続けるには、年齢を重ねて役割や責任が増えれば、必ずどこかで限界が来ます。

 

だからこそ、「辛いと思っていいんだ」「不安になっても大丈夫なんだな」というふうに、ネガティブな感情は決して悪者ではないし、自分を守ってくれるものであることを学び直す必要があるのです。

 

このクライエントさんは、カウンセリングを続ける中で、少しずつ自分の気持ちに気づいていきます。

 

「イヤだな」がわかれば「楽だな」もわかるようになります。

 

自分の楽な状態がわかれば、「楽じゃないな」と、疲れも感じることができるようになるのです。

 

頼まれごとをして、「面倒だ」「イヤだな」と感じることができれば、次に「断ってみようかな」「断って大丈夫かな?嫌われないかな?」と悩むこともできます。

 

そこで勇気を出して断ってみたら、相手があっさりと受け入れてくれた。

 

自分が恐れていたようなことは何も起きなかった。

 

このような経験を通して、「人間関係って、自分が思っているよりも安全なんだな」「私って、断っても大丈夫なんだな」と思えて、自分の気持ちに目が向くようになります。

今までと違い、自己主張もするようになり、相手に理解してもらえることも増えてきます。

 

この積み重ねが自信につながり、「生きていてもいいんだな」と実感できる。

 

つまり、考え方も少しずつ前向きなものに変わっていくのです。

 

「生きている感覚が芽生えてきた」こと

 

「生きてても良いのだと思えるようになった」こと

 

本当にすごいことだと思います。

 

私も、カウンセラーとして関わることができて、本当に嬉しいです。

 

これからも引き続きサポートさせて頂きますので、一緒にがんばっていきましょう!