· 

「カウンセリングを受けたら友達が少なくなった」と感じる人が多いのは、本当の自分の気持ちに気づくから。

 

今回は、共依存を克服するプロセスで起きる人間関係の変化について、話をしたいと思います。

 

先日お会いしたクライエントさんから、こんな話がありました。

 

「この前、大学の友達に会ったんです。いつもその子と会う時は、大体お昼くらいからランチをして、そこから喫茶店とかに移動して夕方くらいまでずっと喋っています。いつも私は聞き役で、その子の話をずっと聞いているんです。最近はコロナで会ってなかったんですけど、誘われたから久々に会ったんですよ」

 

「それで、いつも通りに話を聞いていたんですけど、なんか話を聞いていてムカムカしてきて。その子は、ずっと職場の人の文句を言ってるんです。私にそんな話をされたってわかるわけないのに、ずっとですよ。ランチの時点ですごく疲れちゃって、それでその後カフェに移動してまたそこで3時間ずっと話を聞かされて。本当にイヤでイヤで、終わって家に帰ったら、もうクタクタです。その子からは『楽しかったね!また近いうちに会おうね!』とLINEが来たんですけど、冗談じゃないぞ!と思って。もう会いたくないです」

 

「でも、不思議なんですよ。よく考えてみたら、これまでもずっとそんな関係だったんです。今までもずっとそうだったのに、なんか、私は今回すごくイヤで。今までこれをずっと続けていて、私はなにも思わなかったのか?なんかそっちの方が恐ろしいです」

 

このように、カウンセリングを受けることで、これまで普通に付き合っていた友人との関係に違和感を覚え、距離を置き始めるという方は、このクライエントさんに限らずとても多いのです。

 

「なんか、カウンセリング受けてる1年の間に、友だちが二人だけになっちゃいましたよ!僕って大丈夫ですか?」

 

つい先日も、男性のクライエントさんからこんな話がありました。

 

たくさんいた友達が二人に減るのは確かに焦りますよね…(笑)。

 

では、なぜカウンセリングを継続すると友達が減っていくのでしょうか。

 

そして、それはネガティブな出来事なのでしょうか。

 

これについて、共依存のいくつかの特徴とともに解説していきますね。


役割を過剰に背負い、相手が望む行動を無自覚にとる。

 

これまでもブログなどで解説してきていますが、共依存の人間関係では、多くの場面で「自分がどうしたいか」よりも「私はどうすべきか」という考えが優先されやすくなります。

 

そのため、集団の中では、自然に様々な役割をとることが増えていきます。

 

例えば、飲み会のお店の予約をいつも引き受けていたり、相手が困っていれば自分が眠くても遅くまで電話で話を聞いたり。

 

「今夜の合コンの人数が足りなくなっちゃったんだけど、悪いんだけど来てくれない?」

 

こんな誘いが入れば、二つ返事でOKをして駆けつける方もいますね。

 

このように、自分が相手の役にたつように、みんなが喜んでくれるように、その場で求められている行動を無自覚にとりやすいのです。

 

そして、それに対してストレスを感じるというよりも、「友達が喜んでくれるから」と自ら望んで行動している人、ストレスとすら感じていないという人が多いのが特徴です。

 

※関連記事

◆共依存のパターン「役割依存」

◆共依存のパターン「世話焼き依存」


人間関係に対する不全感が強く、軽んじられることが増える。

 

共依存の方の多くが、「自分さえ我慢して丸くおさまるならそれでいい」「どうせ何を言っても無駄」というふうに、人間関係に対する不全感や無力感を強く感じています。

 

そのため、自己主張が苦手で、相手に対して本心を打ち明けることが難しいのです。

 

友だちに対して「そういうのは好きじゃない」「やめてほしい」と伝えたり、ムッとした表情をしたりして自己主張をすることができないわけですから、時には自分勝手な仲間から好きなように使われたり、やたらと上から物を言われるようなやりとりが増えてきます。

 

「どうも人からマウントをとられるというか、いつも上から物を言われることが多いんですよ」

 

こんな話はカウンセリングでよく聴きますが、そんな方の多くが

 

「不満を相手に伝えてよいのか?」

 

「では、どう伝えたらよいのか?」

 

「そもそも、こんなことで不満に思う私はおかしいのでは?」

 

「こういうのは、スルーして気にしないようにするのが大人なのでは?」

 

頭の中でこのような問答が始まり、なにも伝えることができずにその関係を続けてしまいます。

 

きっとあなたもそうではないですか?

 

結局、相手から軽んじられる関係が継続し、惨めさを募らせます。 


自分の本当の気持ちがわからないので、強い不満にならない。

 

きわめつけは、自分の本当の気持ちをよくわかっていないということがあります。

 

「友達は多い方が良いに決まっている」

 

「週末に一人で過ごすなんて社会人として恥ずかしいことだ」

 

「飲みに誘われたら少し無理をしてでも付き合わないといけない。飲み会で楽しめないのは自分に問題があるからだ」

 

カウンセリングを始めた当初のクライエントさんは、これを本当の自分の気持ちだと思いこんでいる人が多いのですが、よく考えてみてくださいね。

 

これらは「思考」であって、「感情」ではないというのはわかりますか?

 

あなたが頭の中で「こうあるべきだ」と思考している価値観や考え方であって、感情は別のところにあるのです。

 

ここの区別がついていないと、あなたは「こうあるべきだ」という思考にあなた自身を乗っ取られていて、自分がなんだかわからなくなってしまいます。

 

あなたは、どんな時に「辛い」「イヤだな」と感じ、どんな時に「楽だな」「安心だな」と感じるのでしょうか。

 

自分の感情に気づくことが、本当のあなたに気づくことでもあるのです。

 

自分の気持ちに気づいていないうちは、マウントをとられて不全感を覚えたりイラつくことがあっても「これくらい我慢しないとだめだ」と頭で考えて処理するために強い不満にはなりづらく、自分が相手に強いストレスを感じていることに気づくことも苦手になります。

 

当然、自分から友達に距離を置くこともありませんから、いつまでも関係が継続することになります。


「もう我慢するのはやめた!」と思える瞬間に、人間関係がガラッと変わる。

 

ここまで説明すれば、カウンセリングを受けることでだんだん友達が減っていく理由がわかるのではないかと思います。

 

カウンセリングを重ねていくうちに、自分の本当の気持ちに気づけるようになって、人間関係が変わるからです。

 

「休日に友達とランチするのは当たり前で、それくらいしないと私はダメだ」が思考

 

「でも面倒でイヤだな。今日は家でDVDでも見れたら楽だな」が感情

 

こうやって、「思考」と「感情」の違いがわかるようになり、

 

「あ、そうか、私はあの子にそこまで会いたいと思ってないんだな。だって、いつも自分の話ばかりするんだもん。仕事だって大変なのに、休みの日にストレスかかることしたくないから、会うのはやめた!」

 

こうやって、自分の気持ちに気づき、少しずつですが自分を大切にする行動がとれるようになってきます。 

 

そして自分の人間関係を整理していった結果、自分が心地よさを感じれる人、一緒にいて楽だなと思う人など

 

友達が絞られてくるわけです。

 

まさに、あなたがあなたらしくいれる、大切にしたい人なのだと思いますよ。

 

結果として友達が減っていくことにはなりますが、それだけ無理に人間関係を続けていたわけですからむしろ当然のことですよね。

 

決してネガティブに捉える必要なんかなくて、人間関係は、もっともっと自由でいいのです。

 

好きな人と会えばいいし、一人が好きなら一人でいたっていい。

 

あなたの時間をどう過ごすのか、それはあなた自身が選んで生きていけばいいのです。

 

あなたが、本当の自分を取り戻すこと。

 

あなたが、あなた自身の人生を生きれるようになること。

 

そのために、カウンセリングでお手伝いをさせていただきます。

 

いつでもお申し込みをお待ちしています。