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共依存を克服する方法⑦「不安と賢く付き合う力をつける」

 

共依存を克服する方法の第7回です。

 

今日は、不安や辛さなどのネガティブな感情と付き合うことの大切さについてお話します。

「不安にならないようにするにはどうしたらいいんですか?」

 

「落ち込まないようになりたいです」

 

「こんな小さなことでイライラするなんて自分は弱い人間だなと思います」

 

カウンセリングに来る方の多くが、自身に生じるネガティブな感情への対処がうまくできずに苦しんでいます。

 

あなたも同じように、不安や辛さ、悲しみや怒りなどの感情の扱いに困っていないでしょうか。

 

実は、あなたを苦しめるこのネガティブな感情こそが、共依存の人間関係に大きな影響を与えています。

 

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不安を感じないようにしようとすればするほど、人間関係の距離感がうまくとれなくなる。

 

「不安」という感情は、とても苦しいものですよね。

 

「もしかして彼に嫌われちゃったかな」

 

「このままだと、また部長にダメ出しされるかも」

 

「子どもがこのまま学校に行かなくなったらどうしよう…」

 

このような不安が生じると、当然ですが、私たちは「早く安心したい」と思いますよね。

 

今すぐに安心するためには、不安がなくなるように行動するしかありません。

 

「嫌われるのが不安」という悩みを安心に変えるなら、できるだけ相手の顔色を読んで、相手が望む行動をとればいいですよね。

 

自分が本当は望まないことでも、相手に嫌われないためなら、できるだけ相手の望む行動をとり続ける。

 

こうやって、不安をできるだけ感じないようにします。

 

仕事も一緒です。

 

「上司にダメ出しされることが不安」なら、少しのミスもないように、何度も何度も点検したり

 

電話が鳴ったら誰よりも早く出たり、議事録も率先して引き受けたり

 

同じく、不安を安心に変えるための行動をとり続ける必要があります。

 

ここまで説明すればなんとなく理解できると思いますが、「不安を今すぐに安心に変えよう」とすればするほど、行動のコントロールが効かなくなり、衝動的になります。 

 

例えば、

 

・彼氏からLINEの返信がないことでとても不安になってしまい、何度も何度もLINEを送り、電話をたくさんかけ、最後はキレて彼を責め立てる。

 

・仕事を完ぺきに仕上げることにこだわり、部下の仕事を細かく点検しては執拗に口を出して、いつも部下から嫌われてしまう。

 

・子どもの将来が不安で、小さいころから勉強や習い事などにあれこれ口を出してコントロールしてきた結果、中学生になった子どもが急に口を利いてくれなくなった。

このように、不安に飲み込まれて行動のコントロールを失うことは、人間関係に大きな負の影響を及ぼします。

 

とても近い距離感で接するため、相手からコントロールを受けたり(軽んじられる、依存される)、逆に自分が相手をコントロールしてしまうなど、様々なトラブルが生じやすくなります。

 

加えて、不安と付き合うことが苦手な方は、日常的に緊張感が高く動き回ることで体力を使うため、体調を崩しやすいなど、健康面でも悩んでいる人が多いという印象を受けます。

 

このような方の多くが、「もっと上手に人間関係の距離がとれるようになりたい」「私の本当の苦しみは、誰にも理解されない」と悩んでいます。

 

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「不安」は今すぐに解消しようとするのではなく、賢く付き合うもの。

 

ここまで読んで、もしあなたが自分に当てはまると思ったなら、あなたは不安を始めとしたネガティブな感情に日常的に振り回されていることで、日々ストレスを蓄積している可能性があります。

 

そんなあなたが今から取り組むべきことはひとつ。

 

「不安を今すぐに安心に変えるための行動」ではなく、「不安と賢く付き合う力」をつけていくことです。

 

 不安というのは、私たちが安全に生きていくために賢く付き合うことが求められる感情です。

 

私たちが不安だと感じる出来事や問題には、「今すぐに対応しないと健康や生活が脅かされるリスクのある不安」から、「今はそのまま過ごしても問題ない不安」まで、様々な不安があるはずです。

 

大切なのは、今感じている不安と向き合い、賢く付き合う力を身に着けることです。

 

全ての不安に今すぐに対応する必要はありません。

 

不安を感じたら、ゆっくりと深呼吸をして、しっかりと時間を作って、その不安と向き合いましょう。

 

それはすぐに対応すべき不安なのか 

 

自分の思っている不安は現実的なのか

 

不安のまま放っておいたらどうなる可能性が高いのか

 

どれくらい時間的な猶予があるのか

 

一旦立ち止まって、よく考えてみる。

 

話せる相手がいたら、一人で抱え込まずにその不安を共有してみる。

 

人に話すことで、自分の不安を客観視することができます。

 

まずはこのような習慣を持つことから始めてみましょう。

 

もちろん、長い年月をかけて培ったあなたの習慣を変えることは簡単ではありません。

 

ゆっくりでいいので、あなたにできることから取り組んでみてください。

 

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