「仕事に行かない、無責任に放り出す、なんてここ数年は考えられなかったのに、嬉しく思って報告したくなり、メールしました」

 

クライエントさんからカウンセリングの感想を頂きましたので、紹介いたします。

 

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その後の報告として、不必要かもしれませんが

自分でもびっくりしたので、メールさせていただきました。

 

あの後、退職を考えていることを上司に伝えようと考えていましたが、まだ伝えられずにいます。

 

理由としては今週から毎朝、具合が悪くなっています。

 

昨日と今日は仕事に行かない選択をして、遊んでます。外の世界は職場と違い、まったりしていて、平和だな。と、感じています。

 

やっとここに来て、行かないでくれ。と、身体が教えてくれている感覚です。明日も明後日もおそらく行かないと思います。

 

仕事に行かない、無責任に放り出す。なんて考えられなかったのに、嬉しく思ってつい、報告したくなりメールさせていただきました。

 

カウンセリングの効果がここまで出るとは思いませんでした。本当にありがとうございます。

また来週のカウンセリングではよろしくお願いします。

 

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とても嬉しいご報告を頂き、ありがとうございます。

 

この方は、「突然身体が動かなくなって、うまくしゃべれない」「人間関係が苦手」というお悩みで、1年前にご相談を頂きました。

 

身体が動かなくなり、うまくしゃべれなくなることはとても苦しいお悩みですが、この方を本当に苦しめていたのは、トラウマの問題でした。

 

幼少期からのご両親との関係がきっかけで、高圧的で自己主張の強い同僚や、責任をあいまいにする上司を見ると、家族と重なり葛藤が強くなり、苦しさや怒りに襲われます。

 

そして、苦しさや怒りなどの強い感情にさらされると、子どものころからの癖で硬直が始まります。

 

「硬直」と言われてもよくわからないと思うので、簡単に説明しますね。

 

例えば、野生の動物が他の動物に襲われる時、主な選択肢は二つ。

 

「戦う」または「逃げる」ですよね。

 

自分の命を守るために、どちらかを選択するしかありません。

 

でも、実はもう一つ選択肢があるのです。

 

それが、「固まる(硬直する)」です。

 

敵が圧倒的に強くて、もう逃げきれなくて、食べられてしまうことが分かっている時。

 

そんな時は、動物は硬直するのです。

 

これは人間も一緒で、わかりやすく例えると、パソコンのスリープモードに切り替わるようなものです。

 

毎日毎日怒られ、恐怖にさらされていて、逃げ場もない。

 

辛くても誰も助けてくれない。

 

そうすると、辛さや痛みを感じるスイッチを落とせば、少しは楽に生活ができそうではないですか?

 

感情のスイッチを落とせば、苦痛も恐怖も和らぐし

 

身体感覚のスイッチを落とせば、痛みを感じづらくなります。

 

思考のスイッチを落とせば、余計なことは考えなくなるので葛藤しなくて済みます。

 

このクライエントさんは、幼少期から、このように感覚を麻痺して生き抜いてきたのです。

 

当然、その代償は大きいです。

 

職場で嫌なことがあると(自覚していない場合もあります)、突然、オートマチックに硬直します。

 

身体が固まり、うまくしゃべれなくなるなど、思うように身体を動かせません。

 

それが、いわゆるこのクライエントさんのお悩みである「突然身体が動かなくなる」「うまくしゃべれない」だったのです。

 

カウンセリングを進める中で、家族関係やトラウマの問題、そして今の職場が家族に似ていることなどを整理し、トラウマ治療のブレインスポッティングなども行いながら、これまで気づけなかった本当の感情などを点検していきました。

 

すると、家族への強い怒りや悲しみ、嫌悪感、それだけなく、今の職場に対する強い嫌悪感を感じることができたのです。

 

職場では、セクハラやパワハラ被害に遭ったこと、そして上司が助けてくれなかったこと、今も毎日とても不本意な思いをしながら仕事に通っていることなどを、ようやく自覚しました。

 

「私はとても傷ついている」

 

「私は可哀そうだ」

 

「だからいつも、仕事から帰るとぐったりするんだ。私は辛いから調子が悪いんだ」

 

こうやって、ようやく「自分の感情」と「身体の反応」を結び付けて理解することができました。

 「特に理由もなく、突然身体が動かなくなる」という一年前の悩みが、「身体が動かなくなるのは辛いからだ」とわかったのです。

 

そして、「もっと自分のことを大事に生きていきたい」という思いのもと、一旦仕事から離れる決断に至りました。 

  

「無責任に仕事を放りだす」というのは、社会的にはよく受け取られないかもしれません。

 

でも、このクライエントさんは、自分の気持ちに従って行動をすることの価値を、今になって心から実感できたのです。

 

その喜びを真っ先に私にメールで知らせていただき、こちらも本当に嬉しい気持ちになりました。

 

クライエントさんの人生が大きく動く瞬間に、微力ながら関わることができたこと、心から光栄に思います。

 

本当にがんばりましたし、すごいです。 

 

これからも支援をさせて頂きますので、引き続きよろしくお願いいたします!